4月はもっとも

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のっけから私事で恐縮ですが、季節の変わり目に弱い。とくに、冬から春にかけてが最高潮にクる。

もっとも心身ともに調子良い、安定してる季節は冬。もっとも調子崩す季節が春初め。そういう人は意外と、いや、かなり多いんじゃないかと想像する。春が超強力energyと存在感を誇っている、吾国においてはとくに。

先月まで無菌シェルター状態と化していた心と身体に、じょじょに、4月に入ると急速に襲ってくる生々しい外気。あちらこちらで芽吹き始める梢たち。いきなり解像度高く、色づき始める木々たち。ぴぃぴぃ鳴き始める小鳥ちゃんたち。がらり変わる通奏低音。どこからか飛んでくるサッカーボール。まるでついてけない。

(比喩混じりの)文句は続く。

北方領土のしかめつらしい、屈強な顔馴染みのようなディフェンダーたちは、流れ弾に当たって一斉にばたばたと崩れ落ちる。「寒いんだわ」と文句言いつつも、ウォッカ片手に顔を赤らめていた笑顔の老兵たちはあちこち不調を訴える。固い心を携え、家を守っていた赤ら顔の娘たちの心は、やぶにらみの伊達男たちのせいでたちまち落ち着き所を失う。

ついてけなー。

季節の巡りは毎年のことだってのに、そんなこんな残酷な春に、いちいち新鮮に驚いて、溜息漏らしている自分がいる。歳を重ねれば重ねるほど、春に馴染むのがきわめて困難になっている自分に去年よりもずっと重たい溜息が漏れる。窓の外には羽虫と蝶と小鳥が舞い踊り、昨日まで咲き誇っていた桜は瞬く間に散り去り、新緑きらきら輝き、檜花粉が飛散し、生気が冬の静けさを「ぐい」と押し出す。

ああ、1週間くらい、部屋から出ずに、己の抗体能力と自浄作用と耐性を鍛えていたいわ。甘ちゃん言ってんな? たしかにね。でも……。

でも、春は素敵な季節だ。もっとも苦手な季節だが。もっとも、春がなけりゃ始まらない。毎年の「通過儀礼」。避けられないし、避けるべきでもない季節が、今、ここにある。明日も手ぐすね引いて待っている。待っていろ。待っていて。