めくるめくメルク丸

行為は無為よりも、ほんの少しだけ優れてゐる。(バガヴァッド・ギーター)

誰が為に刷新す(改)

こんばんは。のっけから、今日は何も記すことがなさそう。

ですが、土/日は個人的喫茶為事による極度の疲労により、おそらく、きっと、いつだって何ひとつ記せなさそう。

なので、平日はたとい何ひとつ記すことなくとも、何かしら記しとこう……そう思ったりする今日(こんにち)でした。

そういうわけで、今日はひとつ無理してみるか……そんな木曜の夜です。

しかし、私の今日の無為についてつらつら記してみても、誰のためにもならないだろうなあ……あ、「誰のためにもならない」で、ふいに「誰がために鐘は鳴る」のことを思い出した。御存知、アーネスト・ヘミングウェイの有名戦争小説です。

誰がために鐘は鳴る 上 (新潮文庫)

誰がために鐘は鳴る 上 (新潮文庫)

 

最近、新潮文庫から新訳が出ました。

僕は常人らしく(?)ヘミングウェイが昔からとても好きです。氏の代表作「日はまた昇る」「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」は(一応)全部読んでいます。故・大久保康雄氏の旧訳ですが。

で、この高見浩さんの新訳は、「日はまた昇る」にしても「武器よさらば」にしても、生理的にどうしても馴染めず、購入したものの、途中で投げちまいました。

しかし、昨年のノーベル賞受賞・イシグロカズオ氏の翻訳をされている土屋政雄氏の「日はまた昇る」(ハヤカワepi文庫)は、最高に素晴らしかった。今でも時おり読み返しては溜息ついてます。ヘミングウェイ未読の方にも、おすすめします。

日はまた昇る〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

日はまた昇る〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

 

話、逸れました。

さて、この高見氏新訳、「誰がために鐘は鳴る」。

まだ上巻の半分くらいだけど、すっごく良いです。とても、かなり良いです。あるいは大久保康雄氏の名訳を越えているのではないか?と心から思う。 

さすが、現役ヘミングウェイ専翻訳者。きっと訳しながら、人間的にどんどん成長されていたのでしょう。僕のような若人にそんな風に評される筋合いも根拠もないでしょうが、本当にそう思った。

高見浩氏は、これ(誰がために鐘は鳴る)を訳すために翻訳家になったのではないか? そう思えるくらい、気合入った、ばっちり心に滲み入ってくる名訳。

ここんとこ、寝しなに少しずつ読んでいるのだけど、しかも、物語展開は旧訳ですでにほとんど知っているのにもかかわらず、読み進めるのが毎日楽しみで楽しみで。

文学史的には……どうなんでしょう、「冗長」とか「退屈」とか評していた評論家もいたそうですが、僕は故ヘミングウェイの最高傑作、かどうかはわからないけど、「日はまた昇る」「武器よさらば」に決して劣らない(どころか越えかねない)傑作と思っています。

どんなところが? 

それはきっと、いつかきっと後述(ややこしいところはつい先延ばしにしてしまう癖が……)します。

そも、僕は戦争小説ってあまり好んで読みません。だけど、ヘミングウェイのだけは読める。読めてしまう。「武器よさらば」にしても「誰がために鐘は鳴る」にしても、最初から「戦争小説」と思っていない。静かで、ナイーブな、「心地よく清潔な」文学的磁場がそこにある。そんな気持ちをもたらしてくれる作家はそうそういません。ヘミングウェイとあの人くらいしかいない。

↑「あの人」って誰だ? 自分で書いておいて、翌日読んだら思いつかない……。