ムーンワールド再訪記(3)タオとの対話

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今朝も、うとうとしながらムーンワールドのことを考えていました。

はたして、あの世界は、僕が眠っている間も「存在」するのだろうか?

そんな子供じみたことに思いを馳せていた。

でも、その問いは本当に「子供じみて」いるだろうか? 

僕には、「僕がコントローラーを握っていない時、あるいはプレステの電源を切っている時、ムーンワールドは存在しない」と言い切ることはできない。

でも、「ムーンワールドはいつだって存在する。」と言い切ることもできない。どっちつかずである。初プレイから21年経った現在でも。

たとえば午前6時半、僕がこうして「うつらうつら」している間、ムーンワールドのあの住民たちは、僕の存在や意識やらとは無関係に、城下町を動き回っているだろうか? モンスターたち(の死骸)は僕にソウルキャッチされる瞬間を、宵闇の中、まんじりともせずに待っているだろうか? 

そしてこちらの「午前6時半」というのは、ムーンワールドでは何時頃にあたるのだろう?「時差」のようなものは当然、あるだろうな。

当然?  僕が横たわっているこの部屋とロンドンと北極との間には「時差」は存在する。だが、ゲームの世界とこの場所の間に時差はあるのか? 

タオ「お前さん、しっかりせいよ……」

それはおなじみの白犬だった。最近、夢うつつの時にカーテンの裏側からひょいと現れ、時おり僕に喋りかけてくる、真っ白い、人間の言葉を喋る犬。日本生まれだけど、秋田犬なのか土佐犬なのか山形犬なのかまるで判別できない。ソフトバンクのお父さん(秋田犬)には似てないし、僕が先日まで通い詰めていたペットショップの白柴にも似ていない。いかにも素朴きわまりない外見だけど、少なくとも僕よりは頭良さそうに見える。

「どうして、ありえないのさ?」と僕は問う。まるで幼子のように(お許しあれ、半分眠っている時、僕はかなり幼児的になるのです)。 

それはな……と、タオは勿体ぶったように話し始める。

タオ「ムーンワールドはお前の居る世界と『地続き』ではないからだ。お前の大好きなムーンワールドは、こことは独立した、言って見れば別世界・別次元にある。」

別世界・別次元って、具体的にどこさ? と僕は問う。 

タオ「指で指し示せ、と言われたら……まあ、そこだな。」(そう言って、僕の部屋に鎮座ましましている僕のプレステ3を指さす)

ムーンワールドはプレステ3世界の中にあるわけ?と僕は再び問う。

タオ「とりま、そういうことにしておきな」

「とりま」って、どういうこと? と僕はしつこく追求する。

タオ「はいはい。お前さんが何処って問うからそのように答えただけであって、正確にはムーンワールドはプレステの中にあるんじゃない。」

じゃあ、教えてよ!僕は本当の本当が知りたいんだ! 無垢な5歳児のようにわめきたてる僕。

タオ「ムーンワールドは……『moon』ディスクの中にある。」

それもウソだろ?

タオ「どうしてそう思う?」

「ムーンワールドがディスクの中にある」なんてのは「プレステ3の中にある」というのとおんなじくらいウソっぽく聞こえるよ。だって本質的には同じことじゃん。ハードの中だろうとソフトの中だろうと。

タオ「お前さん、最後までmoonやったんだろ?」

もちろんやったよ。でも、それでもmoonがディスクの中にある、とは思えないんだ。エンディングを見た後でも。

タオ「じゃあ、何処にあると思う?」

……うーん、ここ。(と言って、自分の頭を指さす)

タオ「なるほどなあ。」

当たり?

タオ「半分当たってて、半分間違っているかな。」

そういうはぐらかしみたいのはやめろよ。じゃあ、全部当たってるのはどこさ? あ、わかった、頭じゃなくて、こっち(と言って胸を指さす)? 心ん中。イデア界、みたいなとこ。

タオ「それも半分当たってて、半分違うような気ぃする。」

じゃあ、頭と心!現象世界と象徴世界!イデア界とメタファー界!

タオ「やけ起こしなさんな。しかも、お前さん、まだ再プレイ中だろうが。とにかく最後までやんなさい。それで、またよく考えてみるといい。ムーンワールドが何処にあるのか? ……今どき、小学2年生でもそんな子供じみたことは言わんだろうよ。さて、ワテはそろそろ行かなきゃならん。また来週な」

待って、じゃあ、最後にこれだけ言わせて。

タオ「……どーぞ」

僕は今も昔も、こう感じてるんだ。

僕がゲーステ、じゃない、プレステ3の電源切って、こうやってベッドに寝ている時も、外に出かけている時も、フローラはお花屋さんでうっとりしながら花を並べてて、ヤマネコ軒でケンジとクリスちゃんは1日1人しか来ないお客を待ってるんだけど、待ってる間、ほとんど言葉を交わさなくて、フローレンスは森でキノコ探して食べてぶっ飛んで、ベイカーはしかめつらしい顔で朝からパン焼いてて、ガセは噴水の前で酔っぱらってて、ヨシダは小難しい本抱えてすばしこく歩き回ってて、ワンダは1日中カウンターから出ずに時々ため息ついてて、目の前でイビリーがぶつぶつ言いながら酔いつぶれてて、おばあちゃんはロッキンチェアで愛しい孫のこと考えながら昼寝してて、タオは夜中になると散歩がてら骨くわえて走り回ってて、王様は毎晩自室で危険な妄想しながら絵を描いてて、ガマカツさんは河べりで悠々自適にキャンプしてて、スナフキンみたいなギター弾きは山の上で稼いだコインを数えてて、フレッドは勤務中でもちっちゃい声でボヘミアン・ラプソディ歌ってて、バーンはブラック・サバスさながらの長ったらしいギターソロをコピーしては悦に入ってて、勇者は罪のないモンスターをばっさばっさ殺して……

タオ「そこまで。そんなお前さんにぴったりのゲームがあるぞ」

何?

タオ「飛び出せ どうぶつの森

……ぶつ森なんて、やりたくないよ。月曜になったらまた『moon』やるんだ。

タオ「おやすみ」

※今朝、タオにそう言われたことを思い出したので追記した。